ガス爆発！？（後編）【2019-01-24更新】 | 調布の不動産のことならサイトーハウジング

明らかに２０２号室でガスが漏れている様子です
早く何とかしなければ！
全ての部屋が開けられるマスターキーは私が持っているのです

携帯電話など無い時代ですから通報するというより
マスターキーを持っている者がその場を収拾する
そんな状況に完全に追い詰められました

「早くしろ～！」
住民たちは安全な物陰から叫んでいます

意を決してポケットのマスターキーを握りしめます

取り出して鍵穴へ近づけます

ちょっと待て！
玄関ドアのノブはアルミ製でも鍵を刺す込むシリンダー部分は金属
これだけ乾燥した状況で「パチッ！」
静電気が発生した瞬間に５０メートル先に吹き飛ばされて人生が終わる
数ヶ月前に生まれたばかりの娘の笑顔が脳裏に浮かびました

廊下の先の方でTくんがメーターBOXの扉を開けて盾のようにしてこちらを見ています

静電気防止になるのかならないのかは不明でしたが
スーツの上着を脱いで鍵を鍵穴へ差し込み左へ回します

開いた！

ここから先自分の頭の中ではスローモーションで展開された様でした

玄関に右足踏み込んだ瞬間
外で嗅いだ何十倍も強烈なガスの臭いです
一瞬ひるみましたが靴のまま部屋へ突入します
入ってすぐ右手にキッチンシンク
その奥に２口ガスコンロ
右の五徳にヤカンが
もちろん火はついていません
つまみを見るとガスは全開に
「これか」
ツマミに飛びついて右へ回し「閉」の位置へ
部屋に充満したガスを外へ出さないと
台所と居室の間の戸襖を勢いよく開け６畳の和室へ
和室は横向きなので３メートル弱でサッシ扉にたどり着きます
布団は敷きっぱなしでゴミが散乱
足を取られながらも蹴散らして進みます
右目の視線隅には横たえたネコが写りました
構わずサッシを全開に

開け放した玄関と全開サッシの間に風が通り抜けました

数秒後
消防車のサイレンが近づいてきました

爆発は回避されたのです

夕方２０２号室の入居者が事務所に来ました

第一声が
「人の部屋に勝手に入らないでもらいたいんですけどぉ～」

心は完全に折れましたが言いました

「ペットの飼育は禁止ですよ･･･」

つづく