「サロン崩壊」前編【2022-01-31更新】 | 調布の不動産のことならサイトーハウジング

ブログ「サロン崩壊」前編　2022-01-31

役員も３期目になるとそれなりの「ポスト」つまり委員長職にに就くことになります
いくつかの副委員長を経験しましたが「厚生委員長」を拝命しました

新年会や旅行、各同好会運営のお手伝い
文字通り会員さんの福利厚生に関わることや
定時総会や会議後にほぼ必ず行われる飲み会のセッティングや進行を行う委員会なのです
つまりは「宴会係」なのです

厚生委員長になっての初企画は旅行です
その年の旅行はサロンバスをチャーターして１泊の予定で行われました
事前の旅行業者との打合せで
観光地もそこそこ巡りながら早めに宿に到着してゆっくりしてもらおうということになりました
それまでの旅行では宿に到着するのが夕方５時近く
６時からの宴会には全員が揃わないことも多々ありました

次の日も観光があるので朝食も早く設定されていて
温泉を満喫することなくハードな日程が詰め込まれていたので
後のアンケートにもそれらの意見が多く寄せられていたのでした

なので今回の旅行はゆっくりのんびりとした企画にしたのです
比較的高齢者の参加が多いということも理由の一つだったのです

ということで朝は６時に集合してもらいました
皆さん年に一度のお楽しみということで集合時間に遅れること無く全員集合です

バスに乗り込み点呼が済み
いよいよ楽しい楽しい旅行の始まりです
まずは委員長である私の挨拶なのです

挨拶の途中で「プシュッ」という音が

バス後方は椅子がコの字配置されているサロンカーです
サロン中央のテーブルには缶ビール焼酎日本酒の一升瓶もあります

そうです
挨拶中に聞こえていたのは缶ビールを開けている音なのでした

今は朝6時を5分ほど過ぎたところでしょうか
後方では大宴会が催されつつあったのです

まだ中央高速道路にも乗っていません

まぁ朝から飲むというのも旅行の楽しみの一つなのです

私は前方の席で添乗員さんやバスガイドさんと行程の打合せをしています

1時間ほど経ったところで
「とめろ～ 車を とめろ～」の声
聞けばトイレに行きたいという

行程ではあと20分ほどでサービスエリアへ休憩のため立ち寄る予定なのです
そのことを伝えにサロンへと向かいます

進行方向に向いて座っている方々の真ん中を後方へと向かいます
みな私に怪訝そうな顔を向けます
目は何かを訴えているのが解ります
「お願い あの大騒ぎやめさせて！」
目はそう言っています

確かに大騒ぎが加速してきました

サロンの中央に設置されているテーブルは大変なことになっていました
酒がこぼれ氷が散乱しおつまみは酒浸りでグチャグチャ
足の踏み場が無いほど床にも何かがこぼれています

歳は二周りほど先輩の人たち5～6人がベロベロです
1時間程度ででこんなに酔っぱらうか？というほど酔っています

「もう少しでサービスエリアです トイレ我慢できませんか？」

「出来るわけね～だろ！」

いつもは穏やかな先輩達なのですが手が付けられない状態になっています

「おう コレにしちゃおうぜ！」
1人が焼酎3リットルのペットボトルを持ち上げました

カラです！3リットルがほとんどカラなのです

彼らが本気なのはわかりました
本気でペットボトルで用を足す様子なのです

ちょうど高速道路の標識が目に入りました
休憩予定のサービスエリアまではあと２５㎞
その手前のパーキングエリアまでは３㎞です

「わかりました！すぐにトイレにご案内するので我慢してください！」

少し強い口調で言い放ち
ドライバーにその旨を伝えるため前へ走ります

２分程度でトイレに案内出来たので事なきを得ました

トイレへの行き帰りに大騒ぎの先輩達一人一人に話をします

すると、みな口を揃えて言いました
「○○の野郎が飲め飲めってしつこいんだよ」

どうやら一人の先輩がそれぞれのコップに酒を注ぎ入れ
飲まないと怒っていたそうです

予定に無いトイレ休憩を終えバスは出発します
自分はサロンに移動し○○さんの目の前に座ることにしました

悲劇はこの直後にやってきました

「おう 厚生委員長！ 今日は楽しいなぁ～」
早速コップになみなみと日本酒を注いで差し出してきます

「ありがとうございます」
酒はある程度自信があったので飲みます

「お～ 良い飲みっぷりだ！ ほりゃ」
間髪入れずに注いできます

日本酒コップ２杯を一気に飲み干したらコチラも酔ってきます

「○○さん この後観光もありますし・・・」
言い終わらないうちに続けて注ごうとしてきます

「厚生委員長　飲め飲め～」

なるほど　しつこいです

「わかりました コレ飲みますから飲んだら少しおとなしくしていてくださいね」

「・・・おとなしくしてくださいだと？」

○○さんの目がヤバい人の目になっています

テーブルに両手を着いてこちらを睨んでいます
６０歳近いとはいえ鍛えられた身体は見事なものです
横１５０㎝奥行き３０㎝と思われるそのテーブルは
直径１５㎝程の鉄製の円柱２本でバスの床に
それぞれボルト４本でしっかり固定されています

テーブルの上にあった○○さんの手は静かにテーブルの下に隠れていきました

ミシッ ミシッ

変な音がすると同時に○○さんの赤かった顔がさらに真っ赤に
額には血管が浮き出してきました

まさか！？

ベリベリッ！
バキーン！！
金属が切れるような音が出ました

酒と氷と一升瓶とさきイカとピーナッツと
漬物と灰皿とカラオケマイクと
何から何まで乗っていたテーブルがこちらに向かってそびえ立ってきたのです

星一徹が飛雄馬に向かってちゃぶ台をひっくり返す
そんな漫画の一場面を
飛雄馬の立場で実際に体験することとなってしまったのです

酒と氷と一升瓶とさきイカとピーナッツと漬物と灰皿とカラオケマイクが
こちらに向かって飛んできました

そのパワーに驚く暇も無く
痛いやら冷たいやら凄く痛いやらでめまいがしました

ドーン
ガシャガシャ～ン

もの凄い音とともにサロンは崩壊したのでした



つづく
 

ページ作成日　2022-01-31