家賃滞納者の部屋へ【2019-04-14更新】 | 調布の不動産のことならサイトーハウジング

ブログ　「家賃滞納者の部屋に向かう」の巻　2019-04-14

その方はなかなか家賃を払ってくれません
再三の催促の末やっと持って来ます
そういった方でした

歳は４０代半ばで独身
いつもジーンズをはいてボサボサの長髪

月末には翌月分を入れてもらう契約なのに
今月も１０日を過ぎているのに持ってこない
歳は二回り近く上ですが今日こそガツンと言ってやろうと思いアパートへ

部屋は１DK
６畳近くある板張りの台所を抜けて奥に和室の６畳があります
築３０年を超えている木造モルタルのアパート
玄関の右脇にキッチン
シンクの前には窓があり
開いていれば中が丸見えです

いちばん腹を立てている家賃集計担当の事務員さんも一緒に来るというので
部屋にいる確率の高い夕方に二人で部屋へ

電気が点いています
玄関扉を叩こうと思うと玄関脇の窓が少し開いています

覗き込みながらドスのきいた声で名前を呼んでみるか
「ぉっ・・・・」
まだ声はちゃんと出せていません

その方は板張りの台所に正座をしています
ミカン箱をさかさまにした台のうえには
小さなお茶碗に真っ白なごはん
横にお味噌汁がちょこんと置いてあります
それらを拝むように手のひらとひらをピッタリと合わせ
ゆっくりと深々と頭を下げています
消え入りそうな声で

いただきます

私は彼の丸まった背中をしばし眺めていました

・・・今はやめておこう・・・
なぜかそう思いました

怒っている事務員さんを促し事務所に戻ります

人にはいかなる状況いかなる理由でも
他人が立ち入ることの出来ない
とても大切な時間
が有るものなんだと
その日はそう思ったのでありました。


つづく

ページ作成日　2019-04-14